小学2年生の春。

当時とても仲の良かった友だちと、村にあるプール脇の道端で寝転がって遊んでいた。なんのつもりでそうしていたのかは忘れてしまったけれど、太陽に照らされたアスファルトがポカポカあたたかく、土や草の匂いがして幸せな気分になっていたのは覚えている。見晴らしの良い真っ直ぐな一本道。向こうから1台のジープがやってくる。僕も友だちもジープが避けてくれるだろうと思っていた。じゃなかったらそのまま寝っ転がってクスクスと笑い合ったりはしていなかったはずだ。次の瞬間、ジープは僕の頭上を走り抜け、5メートル程先で止まった。オバちゃんが慌てた様子でジープから降りてきた、、そこで記憶は途切れている。


あれは夢なのか、事実がねじ曲がった思い出なのか、実際に起こったことなのか、いまとなってはよくわからない。


夏。僕は中学生になっていた。

友人たち10人くらいで集まり、小学校のグラウンドで花火をした。面子はほとんど忘れてしまったけど、当時想いを寄せていた女の子の横顔はよく覚えている。みんなが花火をしている傍ら、僕と友人とその女の子は駐車場に寝そべり星空を眺めていた。真っ暗な田舎の空には星がよく流れた。友人がぼんやりと呟く。「あの星の光がここに届くまでって何万光年とかっていう時間がかかるんだよなあ。」「ぢゃあ、いま見てるあの星もひょっとしたら消えてなくなってるのかもね。」と僕が言うと、女の子は驚いたようにこちらを見た。「あたしは逆を思った。あの暗闇のところにも、光がここに届いてないだけで、新しい星が生まれてるのかもしれないって。」


高校生活最後の冬。

それまで仲良くしていた友人たちが、まるで僕との記憶を魔法で消されたかのように一斉に無視し始めた。困惑と悲しみと怒りとでごちゃ混ぜになった感情を処理することで精一杯だった。にも関わらず〝嫌われる〟を幾度となく体験していた僕は、どこか懐かしさを感じていたようにも思う。

「おまえらなんかいなくたっておれはたのしめんだよ、ばーか。」


あれから10年と少し、時が流れた。

上京後、早々に夢敗れ、なんとなくはじめた写真を通して、年代も考え方もびらばらな人たちとなんとなく遊ぶようになった。括りのないなんとなくの関係は思いのほか心地良く、僕の生活に馴染んでいった。

「僕が生まれる前からこの世界があったっていうのが不思議でならないんですよ。僕と出会う前からみんなが存在してたなんて信じられないって、真剣に思う時があるっていうか。」僕がそう言うと「すごい自己中っ!」と、面白がって、彼らはただ笑った。


僕の日々は僕の意思とは関係なく、おぼろげな姿のまま邁進してゆく。だけど、色なきものに色を与え、形なきものに形を与えてくれるのもまた、僕の毎日だった。それは同時に誰かの毎日でもある。それらをなんて呼んだらいいのか正直よくかわからないけど、ひとつだけ気づいたことがある。


まるで、関わることによって僕は存在しているみたいだって。