2017/04/15

気が合ってもなぜか仲良くなれない人っているし、気が合わないのになんとなく仲良くなっちゃう人もいる。もちろん気が合って仲良くなる人も気が合わなくて仲良くならない人もいる。相手ありきの話だから気が合う合わないってのは僕の思い込みかもしれないし、そもそも気が合う合わないは関係ない話なのかもしれない。とにかく、ここ3年間に育んできた僕の交友関係はかなり成り行き任せだったような気がする。そして、そういった出会いには、波長が合うとかそういうことよりも、タイミングが重要だったりするのかもしれない。僕にとってキーワードとなったのは、きっと介護だった。

ここに足を運んだのは今回で4回目。1番はじめに立ち寄ったのは4年ほど前だったはず。年に1回というペースは少ない回数に入ると思う。だけど、この場所が存在しているということが、なんだか僕にとって救いのような気がする。

factoryCORE 永福町にある風変わりなギャラリー。

この日は朝から雨が降っていた。僕がギャラリーを訪ねるとオーナーの村松さんと助手の橋本さんがいた。橋本さんは「ちょうどいまイガラシくんのインスタみてたところ。」と手を振ってくれた。村松さんは立ち上がり「やあ!」といった感じで手をあげ、奥のスタッフルーム(キッチン?)に僕の珈琲を淹れに行ってくれたようだった。
壁には風景写真が展示されていた。僕はバックとカメラを椅子に置かせてもらいぐるりと写真をみてまわった。
僕がギャラリーを一周すると、村松さんは珈琲をテーブルに置きながら「なにか変わりはあった?」と尋ねてきた。僕が「いや、特に、、ああ、そういえばケアマネ受かったんですよ。」なんて近況報告をする。
村松さんは僕の父と同世代。大柄な人だ。毎回会うたびにこんなに大きかったっけ?って思ってしまう。若い頃、売れっ子カメラマンとして一世を風靡していた。だけどある時期から考え方が変わりやがて生き方も変わっていったそうだ。そして、今はこうしてギャラリーを経営している。

一通り近況報告が終わり、僕と橋本さんが〝日記〟について話していると、村松さんは「お腹空いてる?」とスタッフルーム(キッチン?)に消えた。橋本さんは僕と同世代で、初めて会ったのはクロスロードギャラリーでの僕の企画展。はじめましてのときからずっと知っていたような感覚になれたひとりだ。ここに展示してる人たちは作家とは少し違う。〝作る〟を食って〝生きている〟人たちといった感じ。だから親しみを覚えるのだろうと思う。

しばらくすると村松さんが「イケると思うんだよ。味見してないけどね。」と、かけ蕎麦を作ってきてくれた。
僕らはお昼ご飯を食べながら、日々生れ続ける思い出の話をした。

あっという間の4時間。話の成り行きで、村松さんが昔使っていたミノルタのカメラやレンズなどを譲って頂けることになった。
「そんな付き合い深いわけじゃないけど、、うちの親を介護したときにイガラシくんの職種の人たちにお世話になったんだよね。だからさ、親近感沸くというか。タイミングだよな、こういうのって。」村松さんが言った。「イガラシくんならちゃんと使ってくれそう。」橋本さんが言った。そんなふうに思ってもらえるのが心底ありがたかった。

僕は2人に見送られながらギャラリーを後にした。雨はあがっていた。

ギャラリーのサイトにはこう書いてある。
〝factory COREは、参加者同士が日々交流を深めながら、全員で創り上げる企画展を軸に展示活動を行っているギャラリーです。日常制作の重要性を考えた企画を中心としたエキシビションを、年間通して行っております。〟
こうした取り組みをもう何十年も続けている。

「彼らがどんなことを感じて、どんなふうに生きてくのかっていうのを見届けながら死ぬっていうのがいいなって思っててさ。」そう言ってニカッと笑った村松さんを、僕はずっと忘れないだろうなと、帰りの電車に揺られながら思った。