2017/03/28


起きてすぐに気になるのは足の痺れ
はじめの頃は〝これがずっと続くのか〟って暗い気持ちになっていたけど、だいぶ慣れた
仕方ないことを気にしても仕方ない
カーテンを開けると清々しい光が部屋の中に差し込み、眠っている妻の顔を照らす
妻は眉間に皺を寄せて布団の中に顔をうずめた
今日は遅い出勤のようで起きてこない
僕は食パンをトースターに突っ込み、牛乳を温める
パジャマを脱ぐとキラキラと埃が舞った
キッチンからはこんがりと焼けたパンの匂いがする
簡単な朝食を済ませ、歯を磨く
大体いつも目覚ましが鳴ってから30分ほどで家を出ることができる
通勤は自転車
カゴとブレーキが壊れていたのをずっと放置していた
先日ようやく修理した
ガタガタいわないカゴ、キキッと止まるブレーキ
思った以上に乗り心地が良くて、もっと早く直せばよかったと思う
季節ごと、時刻ごとに日々の景色は移ろい
また桜の季節がやってくるのだなあと、時の流れの早さに馬鹿みたいに毎回驚く


休憩室の窓から差し込む光はとても弱々しいのだけど見惚れてしまうくらい美しい時がある
今日はまあまあ
ごはんを頬張りながら、お爺ちゃんお婆ちゃんたちの笑い声に耳を傾ける
まだ利用者さんが少なく一緒にごはんを食べてた頃が懐かしい
もうすぐ3年経つのか、、と
ここでも時の流れの早さに驚く

夕方
仕事が終わると公園を突き抜けてスーパーに買い物にいく
だいぶ陽が延びた
スーパーのちょっとした休憩所みたいなところに腰を下ろし、夕飯の献立を考える
レジに並ぶおびただしい数の主婦の皆さんをぼーっと眺める
それぞれの生活がある
不思議なような、空恐ろしいような、愉快なような
僕の隣のベンチでは、スーパーのちょっとした休憩所なのに宴会を催してる真っ赤な顔のオジさんオバさんたちが大いに盛り上がり馬鹿笑いしてる
彼らの1日をぼんやりと想像する
でも、彼らの一生に想いを馳せるには、疲れているし時間も足りない


お米を研ぎ電子ジャーにセットする
お風呂を沸かす
朝出た洗いものと調理中に出る洗いものを片付けながら、肉じゃが、にんじんとごぼうのきんぴら、ほうれん草のお浸し、味噌汁を作る
YouTubeで音楽を流しているけど、換気扇と水の音でほとんど聴こえない
〝お風呂が沸きました〟と電子音が知らせてくれる
お風呂はいつだって温かくて好きだ
ついつい長湯してしまう
だけど、お風呂上がりの足の痺れが幸せな気分を台無しにする
仕方ないことを気にしても仕方ないけど、気になるものはやっぱり気になるのだから仕方ない
作業をしようか迷ったけど作業はせず、珈琲を飲む
しばらくすると妻が帰ってくる
疲れた顔をしているけど、以前ほどじゃない
小さいまんまるの顔
少し神経質そうで、少し優しそうで、少し気が強そうで
愛おしい顔
愛おしい顔は毎日ここに帰ってくる
まるで奇跡みたいだって
時々、本気でそう思う