2017/01/29

妻がドアの鍵を閉める音で目覚めた。今日は早い出勤のようだ。 夢をみていたけどどんな夢か忘れてしまった。 布団に入ったまま顔をあげると開け放たれたカーテンと、結露してきらきら光る窓ガラスが見えた。冬らしい陽射しは出窓に置かれたガジュマルを照らしている。その土の中には10年一緒だったペットの西アフリカトカゲモドキが眠っている。この間、死んでしまった。生活からなにかが欠けてしまうことはとても寂しい。

iPhoneの時計をみると8時32分だった。ゆっくり起き上がって腰を伸ばす。

食パンをトースターに突っ込み、牛乳を火にかける。焦げ目のついた食パンにマーガリンを塗り、あたたかくなった牛乳をマグカップに注ぐ。なんとなくテレビを眺めながら朝食をとり、洗濯を済ませると、10時半過ぎ。家を出る。

駅に向かうとき必ず通る公園。ランニングするおばさん、散歩をする犬、鳥をカメラで狙う微動だにしないご老人、自転車で颯爽と走り去る若者、母親を呼ぶ子供の叫び声、昼間からワンカップを嗜むおじさん、トランペットの練習をしている女の子。僕は自動販売機で買った缶コーヒーを飲みながら落ち葉の中をガザガザ歩いた。見慣れた風景が特別なものにならない幸せを思う。

公園を突き抜け、駅への階段を下る。昔は電車に乗りながらよく本を読んだものだけど、この頃は全くだ。電車に揺られながら介護のことを少し書いた。今年に入ってはじめたものの1つ。今は一般的な基礎知識をまとめている。一通りそれが済んだら〝僕が考える介護〟へ少しずつ向かうようなグラデーションを描きながら掘り下げられたらいいなと思う。
そこにどんな人生があっても〝やー、その人生おもしろいと思うよー!僕は好きだなあ~!〟って、無責任に愛でていたい。その姿勢は僕のケアに反映されていて、それが高齢者のみならず、身の回りの人たちや、会ったこともない人たちにまで広がると、僕の写真につながってゆく。 

漠然とそんなことを思いながら新宿駅で降りる。ビッグカメラでpx5600用のインクを買い、サッと中古カメラ屋さんを覗き、紀伊国屋書店に寄った頃には腰が疲れてきた。時刻は14時53分。帰ることにする。

最寄駅から公園へと向かう途中、爆笑しながら友達とはしゃぐ女子高校生とすれ違う。こんなに寒いのに彼女たちがコートを着ているところをみたことがない。〝17歳くらいに戻れたらきっと楽しいだろうなあ〟なんて、くたびれたことを思ったけど、この住み慣れた日常とさよならするのはもったいないなって思い直す。
夕飯の献立を考えながら、痛み出した腰を気遣いながら、我が家へ帰る。